信州千曲の姨捨を再訪する

 俳聖の追っ掛け記を書き始めて久しい。そろそろ終盤で、これまでの書き溜めた分も乏しくなった。以前千曲の姨捨を訪ねた時(15.6.30)、芭蕉句碑もあったと思うが棚田巡りが主で、記録はない。それで再訪することにした。ネットで調べると、姨捨長楽寺の芭蕉面影塚の外、姨捨駅や姨捨公園にも句碑があるという。これは外すわけにはいかない。

 ホームにあった句碑 JR篠ノ井線姥捨駅に着いて、ホームを見渡した。芭蕉句碑はホームにあるという。探せず渡線橋を渡るが隣のホームにも見えない。施設の陰かなと近づくとあった。更科紀行の際当地で詠んだ面影の句碑である。少なくない句碑を巡っているが、駅ホームというのは初めて。
 無人駅を出て、急坂から踏切を渡り姨捨公園へ。高浜虚子の句碑が出迎えてくれたが、公園とは程遠い小山の荒れた斜面の一画に碑が二つあり、どちらが芭蕉のものか不明。文字が薄くもう読めない。後に調べると左がそれで、“元日に田毎の日こそ恋しけれ”と知る。公園を出て、坂を下る。コスモスが咲く先に棚田の一画が覗けた。秋の稔りの棚田は美しい。前回は緑一色の時期で棚田とは分かり難くかった。
 面影塚 坂道を下り続け、月見畑を左に見て、正面に大きな姨岩があり長楽寺境内で、多くの句碑が乱立している。前回ここで芭蕉のはないと下ってしまっていた。面影塚は参道入口左にあった(写真上)。長い石柱で、“おもかげや 姨一人なく 月の友”は横に刻んであった。1688(貞享5)年8月15日姨捨の田毎の月に惹かれて訪ね、詠んだ更科紀行である。カメラに収め、本堂前へ進んで参拝した。

 秋の棚田は美しい 棚田を眺めようと、駅先へと急坂を上がる。当地は傾斜地も急で、それで棚田なのだろう。篠ノ井線姨捨駅は未だスイッチバック方式で、先程経験した。なんとか坂を上がり切り、前回の経験から一本柳踏切へと歩き、棚田を覗き眺める。
 眼下に収穫期の棚田が広がり、一枚ごとの小さな田圃が並び見事(写真下)。もう刈り終えた田圃もある。2,3度シャッターを切った。駅へ戻る途中、下方先に千曲川が見えた。前回は棚田の間を下り、千曲川を渡ってしなの鉄道千曲駅へ歩いた。当地で眺める善光寺平長野市内の夜景も絶景らしい。
 誰もいない待合室で、遅い昼食。長野駅で求めた牛かつサンドはすきっ腹には美味しい。室内には姨捨伝説が紹介してある。長野駅行き列車は、一旦バックしてから下りの線路へ入り走った。長野駅で上り新幹線に乗り換える。上田駅で途中下車し別所温泉、北向観音も考えていたが、次回として、そのまま乗り続けた。(2021/10/7 K.K. 1413/1500)

◇日時 2021/09/16 ◇天候 晴れ ◇歩行距離等 11,000歩 8㎞ ◇資料 信州千曲観光局「姨捨道先案内」◇交通費 JR東日本大人の休日パス「通過時間等」自宅8:20-JR上野駅9:26-同長野駅11:12-同姨捨駅11:45=姨捨公園11:55=月見畑12:10=長楽寺境内12:20=一本柳踏切12:45=JR姨捨駅13:19-同長野駅14:25-同上野駅15:55-三田線巣鴨駅16:12-自宅16:45