沼津アルプスはその名のとおりミニアルプスであった。長い尾根歩き、岩場やヤセ尾根、そして急登をこなせば急降下と、北アとは規模は違ってもそれぞれを兼ね備えた縦走路であった。これまで歩いた他のアルプス、鎌倉アルプスや長瀞アルプスとは明らかに違い、小型アルプスと呼べる山々であった。同行の弟は途中でギブアップしてしまった。
鈍行で沼津へ 念願の沼津アルプスを目指した。五山七峠を歩く、5、6時間を要するロングコースである。その名には憧れもあったが、我が家からは遠いこともあって、これまでは機会はなかった。ようやく巡ってきた。完歩は2回に分けても良いとの前提で、今回は中途リタイアもあるとし、下見的に入山した。意外に近く、新橋駅から鈍行でも2時間半で沼津駅に着く。バスに乗り継ぎ多比に下車。海側から冨士を眺めながら歩こうと目論んだ。これが途中下山の原因ともなった。
多比口峠から 多比バス停に降り、住宅街の裏に沼津アルプスの標識を見付けて歩き出す。登山口までは既に急坂が始まっている。深い樹林帯の中をトラバースする形で多比口峠に上がる。馴れない弟は最初から遅れがち。休憩中に一人大平山を往復する(356m)。峠では二人の若者が走り去った。山岳マラソンの練習だろうか。
次の多比峠までは難路。岩尾根が続き、ミニではあるが岩場を数カ所越して、またヤセ尾根を渡る。左右とも木々に覆われて展望はない。反対側からのハイカー二組とすれ違い挨拶を交わす。難路を通過すると今度は急降下の道。ようやく下りた地が多比峠であった。平らな地点を見付けて二人で昼食とした。弟が持参したコーヒーを飲んだ。
主峰は鷲頭山 次は当アルプスの主峰鷲頭山へは緩やかな上り坂。初めて右手が開けて眼下に麓の風景が広がった。カメラが趣味の弟は早速アングルを探している。二上り程で頂上(392m)に到着。今度は左手に沼津湾が見えたが、冨士は雲の蔭。小さな祠に登頂の挨拶をする。山頂広場では数人のグループが昼食中。少し下った先の平らな地が小鷲頭山(330m)。正面木立の間に市街地から湾が覗けた。森の中は御用邸と見当を付けた。
急降下が続く 志下峠へのルートはとんでもない下りの険路。最近では経験のないほどに急激に落ち込んでいて、急坂の連続。ロープはあるが、一歩一歩足下を固め、ロープを握り進む外はない。一度はストックを離してしまったら数メートルそのまま下へと落ちてしまった。ここでもハイカーと交差する。高年組だがご婦人達は皆元気だ。上りも一層大変に違いない。中将宮神社への岐路を神社側へ折れると、境内へと出た。平清盛の五男重衡が追われて隠れた岩穴があったらしい。先程小鷲頭の山頂に中将切腹の地との標識を見た。
コースを離脱 志下峠は直ぐ先であった。ここにはエスケープルートがある。離脱を問うと弟は首肯した。彼はやはり相当堪えていた。しかし、案内にもあるとおり荒れた道で簡単ではない。山中から里へ抜けて、振り返ると先程下った小鷲頭からのきつい傾斜が見えた。バスで沼津駅へ戻り、御殿場線で新松田駅へと出て帰京。駅前で、土産に当地の名産干物を求めた。
やはり完全踏破は無理であったが、山の様子、登山路等の外、アクセス手段も確かめられて、一応の目的は果たすことができた。(09/5/16 113)
追 記 沼津アルプスは、私には険しく、厳しい縦走コースであった。上りは兎も角、下りにも難渋し、結局途中離脱となってしまった。首都圏にはミニアルプスの低山はそっちこっちにあるが、比較にならなかった。沼津アルプスは半分ほど未踏になってしまったが、リベンジには至っていない。私が歩き通したミニアルプスは、長瀞アルプス(09.3.21)、飯能アルプス(09.9.23)、葉山アルプス(10.1.11)、日連アルプス(11.9.18)、そして鎌倉アルプス(12.1.8)だが、こちらはハイキングコースに過ぎなかった。


