春近し旅立ち千住に像二つ

先日、友人と伊豆長八の鏝絵の話しを交わし、若い頃西伊豆へ職場旅行した時見たことを話した。左官長八の鏝絵は都内隅田川畔の神社にもあったことを思い出し、記録かある筈と帰宅後探し見付かった(03.12.31)。北千住を巡った記録を読み返すと近くに芭蕉の奥の細道旅立ちの碑があったことも記してあった。我が家から近く、案内に備え再訪しようと思い立った。2月に入り好天の初春の日である。

長八鏝絵を見る 私の歩き始めの地は、京成線千住大橋駅で、我が家から1時間弱。駅前案内図で見当を付け、5分で橋戸稲荷神社に着くと、社殿両側に狐の鏝絵があった(写真上)。長八は伊豆松崎から江戸へ出たという。参拝後、鏝絵にカメラを向けたが、絵が薄い上に保存用の硝子が反射し写し難い。それでも2,3度シャッターを切った。本物は本殿土蔵扉に描かれ、表へ出ているのは観賞用のレプリカらしい。
足立区の碑と像 直ぐ側が隅田川で千住大橋。袂の公園に芭蕉矢立始めの碑があった。事前にネットで調べると、元禄2(1697)年3月27日(旧暦)、”行く春や鳥啼魚の目は泪”と詠んだ旅立ちの地を巡り、千住論争というものがあり、足立区の北千住説と、荒川区の南千住説とに分かれ、それぞれに芭蕉像や石碑を建てているという。目の前の碑は北千住にあるもの。足立市場前に建つ像も見ようと、一端隅田川へ下り橋下を通ると、曽良と一緒の旅立ちの壁絵があった(写真下)。蕪村の絵を模写したらしい。旅立ち時大橋は既にあり、1594(文禄3)年普請奉行伊奈忠次が架けたと知った。川を上がり像を探すが見当たらず、広い市場を一回りすると、日光街道に面した正門隣にあった。壁絵とは違い、私には太った老人に見え芭蕉かなと訝った。
 荒川区の碑と像 千住大橋を渡り日光街道を足立区から荒川区へ。右手の古社が素盞雄(スサノオ)神社。境内に、旅立ちの130年後文政3(1820)年に文人達が記念に建てた句碑があり、本殿に詣でて、古い碑をカメラに収めた。荒川区の像がある日比谷線南千住駅前へ向かうが、地下鉄もここは地上駅。回り道するも探し当て、像を見上げると、先程の像とは違い痩せた老人風。またデジカメを向けた。
三ノ輪から都電に乗車 都営荒川線三ノ輪駅迄歩こうと、商店街を抜け日光街道を渡り、三ノ輪へ。当地は昨年訪ね(16.2.11)少し土地勘があり、想定通り商店街ジョイフルに達し、アーケード下を往復。小さな食料品店が軒を接して両側に連なり、人出もあるが、シャッターを閉めた店も見掛ける。若干の買い物をし、三ノ輪駅から三田線西巣鴨駅へ出た。車中、友人へ鏝絵の写真をメールで送ったら、後日薄くて良く分からないと返信があった。長八鏝絵が、前回の多賀城・壺碑に続き芭蕉になってしまったが、故郷の読者S先生からの先日の手紙にも、”旅に病んで・・・”の句があり、この処芭蕉尽いている。(2017/02/15 K.K. 1087/1100)

◇日時 2017/2/4 ◇天候 晴 ◇交通費 310円 ◇資料 山川出版社「東京都の歴史散歩上・下町」 ◇歩行距離 8km 11,000歩
「通過時間等」自宅13:15-JR巣鴨駅13:50-京成日暮里駅14:01-同千住大橋駅14:10=橋戸稲荷神社14:15=大橋公園14:20=足立区芭蕉像14:40=千住大橋14:45=素盞雄神社
14:55=南千住駅前芭蕉像15:15=三ノ輪商店街15:30=都電荒川線三ノ輪駅15:58-三田線西巣鴨駅16:35-自宅17:05