選定を誤った白駒池から渋の湯下山コース

 進むべきか戻るべきか 狭くて急な石ゴロ沢の途中で、脚が止まってしまった。踏み跡も、赤テープも見当たらず、進むべきか、戻るべきか。下り続けるのも容易ではない。周囲は深い森。渋の湯発最終バス時間はさっき過ぎてしまった。子供の頃祖父が教えてくれた”沢を下れば里へ出る”とは、故郷の里山でのこと。ここは北八つ山麓の深い山中である。

 麦草峠、白駒池 本日、北八つ麦草峠、白駒池を巡るため、茅野駅からバスで麦草峠へ上がった。峠最高点(2120m)を越し、白駒池へ歩いた。シラビソ原生林内の苔が有名で、カメラに収めながら池端へ出ると、高地の池は静かに水を湛えていた(写真上)。昼食休憩し、下りに備える。下りは、手許の地図にある高見石へ上がり、渋の湯へ下るコースを見付けていた。下るコースタイム1時間10分で、最終バスにも余裕がある。

 高見石から賽の河原へ 白駒池を離れ、高見石へと薄暗い林の中を上がり続ける。大石ゴロゴロの坂道で歩き難いがゆっくり脚を一歩一歩を進める。平日なのにハイカーを見掛け、二組に抜かれるも急がない。頭上に空がチラチラしてから長いが、小屋前へ出た。思ったより速く、コースタイム50分の処45分。エッ本当と疑いながら、小屋前で休憩。案内板に、渋の湯へは緩やかな道とあり、ニンマリ。しかし、30分後は状況が一変した。
 高見石から直ぐ渋の湯へ左折しシラビソ林の中苔を見ながらゆっくり下ったのは、林内だけ。30分程で賽の河原の上で、正面には天狗岳(2645m)が聳えている(写真中)。急降下の道を慎重に下りた広い沢底部の河原は、溶岩の巨石や大岩で覆われた大ガレ場で、その上を歩く。時には石上を跨ぎ、時には降りて横をすり抜け、これを繰り返すが、脚が短く、体重が重い私には簡単ではない。怪我が怖く、岩角に手を掛け、足場確保を優先。賽の河原にも赤テープがある。途中で前方に高山が見え御嶽山で(写真下)、カメラを望遠にし写した。こんな余裕は此処まで。

 戻ってコース確認 地蔵様前を過ぎ、300m以上はあった鬼の賽の河原を脱出したと思ったが、下山路はその後もゴロ石が連続する沢。コースタイムを過ぎ、そろそろ渋の湯へ飛び出すと期待するがその気配はない。そんな歩きを続け、右折したら、冒頭の地点に至った。 道を誤ったかと思い、セオリー通り右折地点へ戻ると、赤テープ通り。そのまま沢を下り続け、コース案内に出会い渋川へ出てホッとしたが、ここからも簡単ではなかった。四ヶ所の木橋はいずれも新しいもので、最近の大洪水を示し、道も荒れ途切れ途切れのよう。谷沿いを懸命に歩き続け、黒百合平への分岐を過ぎ、ふと右を見ると建物があり、渋の湯であった。高見石から3時間経過し、コースタイム二倍以上。地図の誤植を疑い、帰宅後調べたら私並みの山行記録が2例あった。電話を借りタクシーを呼び、5時の特急あずさに乗れた。(2019/10/4 K.K. 1287/1300)

◇日時 2019/9/29 ◇天候 晴 ◇交通費 15,960円 ◇資料 昭文社「山と高原地図八ヶ岳・蓼科」1995年 ◇歩数等 16,000歩 11km
「通過時間等」自宅6:50-JR同新宿駅8:00-同茅野駅10:25-麦草峠11:40=白駒池入口11:50=白駒池12:05/12:15=高見石13:00/13:10=賽の河原13:45-14:15=戻り地点15:00=渋の湯16:15/17:05-JR茅野駅17:52-同新宿駅20:15-三田線巣鴨駅20:35-自宅21:05