山頂は自然の楽園 急登を続けて飛び出した地はなんと前方一面に広がる湿原地帯。木道周囲にはチングルマやワタスゲ、イワカガミ、コバイケイソウが咲き、小さな紫の花はタテヤマリンドウ。湿原には、弘法の池と呼ばれる池や小さな池塘がそちこっちに点在している。自然の排水溝があって、湿原を流れ出た水は地下へと通じていた。
花の百名山(田中澄江選)である。田代山頂上は自然の楽園。東方面が開けて、那須方面の山々が広がっている。なんと言っても、広大な自然を我々独り占めできるのが良い。土曜日なのに登山者は少なく、入山して2,3のグループに出会っただけだ。尾瀬などではこうはいかない。
木道を渡り湿原を一周する。太子堂避難小屋を確かめた後、湿原端で他の登山者に混じって昼食。山上湿原の自然をたっぷりと楽しんで下山に掛かった。途中同じ方向に靡く灌木を見て、北海道美深松山湿原のエゾマツを思い出した(03.7.26)。葉や樹皮がちぎれて幹が剥きだしなった斜めの低木達は長期間風雨に耐え続けている証明だ。
先行メンバーを追う 今年の秘湯を巡る会は会津湯ノ花温泉に泊まり、駒止湿原、田代山登山と会長からメールがあった。生憎初日は授業があって、午後からの参加。 南大沢から多摩センター駅で千代田線直通電車を捕まえ、北千住駅では会津田島行きへと乗り継いだ。12時過ぎに出発したが会津高原駅に着いた時はなんと17時半であった。一行に合流し湯ノ花温泉へと向かった。当地は雨の一日で、駒止湿原は雨中を一周したと言う。
田代山へ登る 二日目、天候は良く雨の心配はない。登山口猿倉は意外に奥で、温泉から車で小1時間の山の中。沢を渡って登山道を進む。久しぶりの山らしい山である。次第に急坂になり、しかも昨日の雨で滑り易い中を懸命に上り続ける。道端に咲く白い花はゴゼンタチバナ、ギンリョウソウも見付けた。
木々の背丈が低くなって頂上に近づいているのを実感すると間もなく小さな広場に到着。小田代湿原であった。休憩後山頂を目指す。急登に加えて、これまで以上の悪路。岩や木の根が段差となって行く手を遮っている。遠くに聞こえるカッコーの鳴き声が救いだ。そして、他のメンバーに続いて山頂湿原(1,926M)へ上がった。
膝は大丈夫 今回の登山は左膝が気になっていた。昨年末痛めて以来歩いてはいるが完治ではない。下りを懸念して対策を講じた。厚手の靴下を履き、膝にはきつめのサポーターを当て、ストックを使用した。下りは苦手で山頂下から他のメンバーには離されたが、無理に追うことなく自らのペースで下り続ける。幸い痛みは出ない。2度休憩を取り、最後の沢では水割り用に清水を汲んで猿倉口に下山した。少し遅れただけであった。
その後も痛みが特に生じることもなく過ぎている。下山後直ぐ湯ノ花温泉共同浴場で癒したのが良かったのかもしれない。無事秘湯と山頂湿原を楽しむことができた。メンバーにも感謝したい。(07/6/29,30 25/100)
追記 秘湯の会の例会で、温泉付き山行であった。金曜日で、午前中の講義を終えてから、一行を追い、会津高原駅に着いた時は夕方であった。温泉と山の記憶は薄い。膝を痛めていた時であったが、メンバーにそう遅れることなく下山できたようである。その後再発はしていない。秘湯の会もコロナで休会のまま終わってしまった。残念である。最近偶々会津高原尾瀬口駅で、花の名山田代山のポスターを見た。