雌阿寒岳は活火山らしい高山で、麓の蝦夷赤松林、灌木地帯、這い松群、ガレ場、そして水蒸気を上げる火口湖と高度を上げるに従い周囲の変化がハッキリとした北の名峰であった。今春新1年生となった2番目の孫最初の運動会に招かれた北海道音更滞在の3日目に、野中温泉口から雌阿寒岳を目指した。
野中温泉コースを上がる 登山口は温泉傍蝦夷赤松林の中に見付かった。登山者名簿には既に数名の先行者の記載がある。6時40分に歩き出し、薄暗い林の中の湿った登山道を行く。今回は最初からスパッツを着けた。楽な道ではないがこんなものだろうと単身上り続けて、1合目、2合目を通過。林を抜けると頭上よりは高いが灌木地帯。右手にチラチラと岩峰が見え、雌阿寒岳だろうか。そして、一旦空沢へ下りた。4合目、5合目を過ぎて大休憩。本日は婿殿K君が5時過ぎに出発し登山口まで送ってくれ、余裕のある登山が出来る。2組の登山者が追い越して行った。羆を心配したがそのような警告はない。
前方に雄阿寒岳の雄姿 這い松群地に至り、山裾へ緑の絨毯が広がり、左手先には雄阿寒岳の姿が美しい。この風景は旭岳や羅臼岳を思い出させた。7合目を過ぎるとガレ場となり、8合目からは登山道が分かり難くなって、赤ペンキ印を懸命に追うしかない。ガスでも出たらと思い、目印に大岩のインプットを心掛ける。胸突き八丁に掛かったらしく、遅々として進まない。小休止を繰り返しながらゆっくりと歩を進める。
爆裂火口湖の上が山頂 肩へ出た9合目では、右側が切れ落ち火口湖赤沼が見えた。水蒸気を吐き、噴火爆裂跡を残す異様な地形。カメラに収めた。そして、9時15分登頂(1,499m)。2時間35分を要した。休憩を入れてだが、自分としては20分前後多めである。2組の男女が休憩中。記念撮影後、メールが可能で音更の娘へ登頂を報告。火口湖の写真を添付した。
9時45分下山開始、往路とした。オンネトーコースを予定したがK君のアドバイスだ。下りは、薄いながらも登山道を確認できる。多くなり始めた上りの登山者と挨拶を交わしながら順調に下る。7合目付近から左手下にオンネトーの湖が見えた。上りでは気が付かなかったが、濃いグリーンの水を湛えている。水無しの大沢を渡り3合目手前で、携帯が振動。娘からで、一家は野中温泉に到着したという。約40分後と伝えて、下り続ける。濡れた下りの山道を急ぐと危険なので、ペースは維持。少し遅れて11時55分に登山口に着くと、駐車場から孫が出て来た。
下山後孫達と温泉を楽しむ 長女一家とオンネトー湖の茶屋で昼食を取り、野中温泉で入浴をした。板張風呂の温泉は山ノ湯の風情があってとても良かった。今回は孫達4人の運動会観戦、応援をして成長を見届け、雌阿寒岳登山も適い楽しい、北海道の旅となった。遠路送迎してくれたK君有り難う。(2011/06/12 3/100)
追記 雌阿寒岳に登り、これで、北海道で100名山3座となった。距離や傾斜もそう難しい山ではなかった。後に孫たちが進学した帯広柏葉高校山岳部一行と一緒になったのを覚えている。下山後、孫たちと山の湯を楽しんだ。登山家岩崎元郎さんも、野中温泉を推奨している(「ぼくの新百名山」朝日文庫176頁)。雄阿寒岳は機会を逃してしまった。