私が登った百の名山&低山=新潟編=「ハイキングのつもりが山登りであった谷川連峰蓬峠越え」

 晴天下、尾根伝いに緑一色笹藪に覆われた谷川武能岳から茂倉岳山麓が目の前に広がり、高山でもなだらかに裾を引く山容がいかにも穏やかである。夏山風景を眺めながら同行の友人と、語らいカップを傾けている。至福の時である。これを求めて、長く辛い峠道を上がって来たのだ。
 
 土樽駅から蓬峠へ 上越線土樽駅を歩き出したのは10時過ぎで、1時間程で林道が終わり沢伝いの登山道になった。石が多く楽な道ではないが予定より前に、中間の地東俣沢出合に着き、昼食にした。ここから急坂が始まった。所々崩れかけた箇所があり悪路である。大雨の所為だろう。若いKさんは先行するが追わず、ペースを貫く。傾斜が緩んで同じような林の中の道が続き、小さな沢を3本越した。ジグザグの急登が再開し、下山者とすれ違うようになる。森林限界を過ぎ潅木地帯から周囲が開けて来た。そろそろ小屋が見える筈だがなかなかだ。沢でKさんが待っていた。小憩後、狭く切れ落ちた崖端から笹藪の中となり最後の水場があった。もう直ぐと疲れた脚を進め、笹原に切られた山道を上がると蓬ヒュッテの前であった。標高1,529mの地である。

 一ノ倉沢へ下山 山の朝は早い。隣は4時前から支度を始め早立ちして行った。我々も小屋で朝食を済ませ押し出されるように5時30分前に下山開始。朝靄の中尾根道から一ノ倉沢へ向けて下る。登山道は野草に覆われ、かき分けながら前進。露でズボンがズタズタになり、雨具を着けたKさんは正解。道は狭く、草の下は抉れていて一歩一歩確かめながら歩を進めざるを得ず一時も息が抜けない。一度は草に滑って尻餅を付いてしまった。ようやく難路を脱し清水峠への分岐を過ぎて白樺避難小屋へ着いた。予定時間を20分オーバーしていた。一休みし下り続ける。新旧道交差地では、迷わず楽な新道へ。坂は急だが歩き難い程ではない。沢へ出て武能沢。湯桧曽川縁の道でも崖にへばり付いた険路。慎重に、慎重に進むも、虹芝寮は見えて来ない。大きな沢を2,3本渡るとようやく建物があり、目指す寮であった。
 大休憩をし、一ノ倉沢へ向かうが、旧道への僅かな上りが大変な直登。這い上がって国道291号を行く。幽ノ沢を経て、疲れた上に膝をがくがくさせながら歩き続け一ノ倉沢へ到着した。沢の奥には雪が残り、雪渓見物客が出ていた。無事下山にホッとし、沢水で顔を拭き、汗を拭う。

 水上温泉へ 丁度相乗りジャンボタクシーがあって乗車。ロープウェイ駅からはバスで水上へ出て温泉に浸かり二日間の汗を流し、缶麦酒片手に高崎行き電車の乗客となった。Kさんお世話様でした。お陰で蓬峠越えをして夏山気分を味わうことが出来ました。(12/8/4,5 109) 

追 記 蓬峠は峠と雖も谷川連峰を越す道で、上りも下りも難路で、特に下りには難渋した。その分冒頭に記したように峠上で、夏山風景を眺めながらの大休息を楽しんだ思い出は深い。下山先の18年振りの一ノ倉沢には真夏なのに雪があった。谷川連峰は広く、新潟県の上越線土樽駅からスタートし、群馬県水上町へと下った。