私が登った百の名山&低山=関東編=「新緑の中鎌倉アルプスを歩く」

 久しぶりに山道を歩いた。膝の故障も癒え歩き始めとして、鎌倉天園コースを選んだ。このコースは低山だが鎌倉アルプスと呼ばれる知られた山道だ。手元の資料にも紹介されて、以前から一度晩秋にでも歩こうと思っていたが、今頃は新緑が美しいと新聞で知った。鎌倉アルプスは鶴岡八幡宮を取り囲むように連なり、頼朝はこれらの山を天然の要害としてこの地に幕府を開いたと、中学の修学旅行の時に習った記憶がある。

 鶴岡八幡宮参拝 鎌倉駅から先ずは鶴岡八幡宮にお参りをして、家族の健康と本日の安全をお願いした。鎌倉の八幡様は、中学の修学旅行と長女が中学生の頃紫陽花見学の際と3度目だ。故郷東根の若宮八幡宮は康平(1058-1065)年間に分霊したものといわれている。境内手前のぼたん庭園で牡丹を観賞した。鎌倉は山歩きの外季節の花が楽しめる。「現在満開」の案内に惹かれたのだが期待した程ではなかった。

 瑞泉寺口から 今回は天園コースを反対側・瑞泉寺口から歩くことにし、瑞泉寺に立ち寄る。1327(嘉暦2)年に夢窓国師が開山した名刹という。鎌倉の小さな山に囲まれて緑の谷間に埋もれていた。入口から本堂までも長い林中の参道が続き、寺の庭は裏山や岩場を利用した禅の庭園とあった。登山口は寺傍に見付かった。瑞泉寺付近は滑りやすい粘度質の急坂と知り、こちら側から上ることにした。昨年末湯河原の城山裏で滑って以来、急な下りは未だに怖く、出来るだけ避けるようにしている。昨夜の雨のせいで道は濡れて、上りにしたのは正解のようだ。コースは木々に覆われて展望はない。上り道が続くも息切れはしない。沢のような道の途中に地蔵様が祀られていた。貝吹地蔵らしい。ランニング中の男女とすれ違い、先ほど越した小さな岩場はどうするのだろうと思った。
 鎌倉の山は亜熱帯植物が生い茂りその中の大木は椎や楠のようだ。やはり低山と雖も緑の山道は山歩きの雰囲気を味わうことが出来、街角ウォークや里歩きとは趣が違う。ルンルン気分で新緑の中を行く。展望台の岩に立ち見下ろしたが曇り空の下、市街から海岸方向は霞んでいた。天園に着いて売店で休憩した。

 天園、大平山 ゴルフ場上に出て崖状の斜面を上がると大平山(159m)で、コース最高点の頂上からは横浜方面が望まれた。山頂下は溝のような濡れた坂で、木に掴まりながら慎重に一歩、一歩下る。下りは踵に重心を置くようにした。大勢のハイカーと出会うようになる。やはり人気あるハイキングコースだ。犬を連れた家族は散歩だろうか。十王岩を過ぎて、建長寺裏山の展望台に着き、同寺を眺めると深い緑の原に伽藍だけが浮き出ていた。長い階段を下りて、半蔵坊から建長寺内に入る。

 建長寺に下山 広い境内を本堂や鐘楼、山門を通り抜けて下山し、北鎌倉駅に向かった。心配した膝は支障なく歩き通し、山道の上下にも特に違和感もなかった。2月末聖路加病院の先生に、山歩きは2ヶ月後にせよと診断を受けたが、そのとおりであった。   (2002/5/12 76/100)

追記 鎌倉アルプスコースで、鎌倉八幡宮の背後を囲んだ低山であった。新緑も深緑で、清々しい山歩きとなった。コース自体も高低を繰り返し、時々展望も楽しんだ。10年後に反対側から歩いた(12.1.8)。鎌倉アルプスに遺る切通しも歩いた。名越切通(05.03.16)、鎌倉大仏坂切通(09.12.26)、朝夷奈切通(11.01.10)、釈迦堂口切通(11.02.06)、亀ヶ谷、化粧坂切通(23.02.18)で、七つ口の大半である。本天園は、日本百低名山に選ばれている(同書58頁)。