先輩Hさんに連れられて、丹沢表尾根コースを縦走する。丹沢は、小生にとってやや遠い存在ではあるが、憧れの山でもあった。奥多摩や奥武蔵と違い、山男の好む山であり、本格的な登山を目指す者の足慣らしあるいはアルプスに登る合間に楽しむ山という思いがあった。したがって、高年になって始め、低山歩きを主とする小生にとっては近寄りがたいが、一度は挑戦したい山の一つと思っていた。扇山(97.4.12)の帰りにHさんから丹沢の話があったとき、絶好のチャンスと飛びついた。とても、単独では無理と思っていたからだ。
ヤビツ峠から 小田急秦野駅に集合し、ヤビツ峠までバスで入り、同峠から丹沢表尾根コースを採る。富士見橋先から山道となる。最初に休憩した二ノ塔から左手奥に塔ノ岳、右手に大山が見えた。下って登り返すと三ノ塔。三ノ塔の先は急降下。鎖があったが使用しなくても済む程度のもので、職場の同僚T君から前日聞いた通り。昨年の平標山(96.7.13)の下りと同じ位かなと尋ねたら、Hさんはこちらが急という。その後小さなピークを数度越して新大日茶屋で休憩。途中、やしおつつじ、白いつつじやぶなの木を見た。何度もピークを越すコースは気分的にも滅入るが、ピークといっても短時間で登り切る小さなものであり、未だ上りコースで目指す主峰が先ということもあって、伊豆ガ岳(95.4.15)の下りのようには疲れない。
360度展望の山頂 塔ノ岳への最後の上りは歩きやすい尾根道で高尾山周辺のような道。尾根から石の多い道を上り切ると頂上(1,490M)。360度展望可能な頂上で、丹沢山、蛭ガ岳は正面に見えるが、天気が良いためかえって遠くが霞んでいる。富士山は二ノ塔への上りの途中で見えたのみ。食事中に鹿が現れ、餌を強請っている様子。昨年の大山(96.6.16)でも出会った。今回二度鳴き声を聞く。鹿が多いのだろう。
長い下山路 大倉バス停を目指して下山。鍋割山は次回にする。階段が多く歩きにくい。懸命に下るも、他の登山者に抜かれ離される。小生の下りは、速いとは思わないがそれ程遅いのだろうか。それでも、予定時間通り無事大倉バス停に下山した。下山コースには山小屋を兼ねた売店が多くあり、それだけ山が深く、また人気があって登山者が多いということであろう。
登山前に、資料を見て、休憩時間等を入れて7時間を要し、9時ヤビツ峠出発、16時大倉バス停下山と予想したが、ほぼその通りとなる。今回も同行して戴いたHさんに感謝したい。お陰様で、憧れの丹沢の一角を無事踏破し、少し自信が付いたような気がする。流石丹沢で歩行時間が長く、しかも上り下りもきついため、足、特に太股がいつもより痛い。なお、途中の大倉高原山の家の水場で、飼い猫たまと水割り用に水を汲み、地酒は「ササカップ」を求めた。因みに水は有料(維持費負担)であった。(97/5/10 74/100)
追記 丹沢山塊には丹沢山の外、高峰があるが、私は塔ノ岳だけとなってしまった。チャンスはあったが実現できなかった。鍋割山や丹沢山、檜洞丸などの山麓を下見的にハイクし時を経て、これらの山々も登ったのではないかと錯覚してしまったようだ。大山や塔ノ岳は、小田急からアクセスが良いからであったろう。残念である。塔ノ岳は、日本三百名や日本百低名山(同書226頁)登載の山である。