私が登った百の名山&低山=関東編=「奥多摩の名峰・三頭山に登りブナ林を歩く」

 今年の目標の山の一つである奥多摩・三頭山に登った。三頭山は、大岳山、御前山とともに奥多摩三山に属し、その中の最高峰で、山歩きガイドブックには必ず紹介されているポピュラーな山である。他の二山には既に登った(大岳山94.10.8,御前山94.11.19)ので、三頭山を目指していた。

 真夏にチャレンジ ガイドブックで調べると夏でも可とあり(浅野孝一「中高年の山のベストコース[東京周辺]」山と渓谷社,86頁)、それでも真夏の炎天下は避けようと思っていたら、丁度、本日曇りで涼しいとの予報を見て、勇んで出発した。同山は、奥多摩周遊道路ができるまでは、アプローチが長く簡単には登れない山で一部の山男にだけ知られていたが、最近は都民の森も出来、バスが直ぐ下まで乗り入れたため俗化してつまらなくなったとの声もあるようである。未だ僅かに残るブナの原生林に期待する。今回は、真夏対策として水500リットルボトル2本、スポーツ飲料500リットル1本、ヨーグルトそれに桃、雨に備えて雨具、傘、着替え一式をザックに入れた。

 鞘口峠から山頂へ 都民の森までバスで入り、歩き始める。8月の日曜日なのにハイカーは意外に少ない。天候のせいだけではないようだ。都民の森の中を過ぎると鞘口峠はすぐ。峠で一休みして、三頭山へ方向を採る。ブナ林に入ったようで、一抱えを超えるブナの木が目立ち始める。勾配がきつくなった尾根道でグループを追い抜く。鞘口峠から所要時間50分のところを約60分要して、三頭山・東峰(1527.5m)に登頂。
 小憩後一旦峠に下りて、上り返したところが三頭山・中央峰(1531m)。いずれの峰も残念ながら雲で展望はない。休んでいた老夫婦に記念のシャッターをお願いした。
 三頭山の由来は、三つの峰からなる山という説が有力であるが、先の峠が御堂峠でこれが三頭山になったとの説もあるようだ。

 西原峠経由し数馬の湯へ 遅くとも2時20分までに中ノ平バス停に下山し、数馬の湯に入り、3時12分発のバスに乗ろうとの読みで、西原峠へ向かう。同峠までのコースタイムは60分。この尾根道は笹尾根の下りで、春に歩いた浅間峠を越えて生藤山(98.4.18)から和田峠まで続いている道。ブナ林の中の階段を降り尾根道となるが、途中から岩の多い急降下が断続し、しかも朝方の雨で濡れているため、一歩一歩下る。予定時間が過ぎたが峠に着かない。靄が濃くなり標識を見逃さないように進む。約80分を要してようやく西原峠に着き、誰もいない寂しい峠で水を飲み、桃にかぶり付く。
 西原峠から中ノ平バス停までは、歩きやすい平な道から溝の中の道となり、林の中を抜けると集落に着き、コースタイム通り約60分で下る。往きのバスの中から見付けた桧原温泉センター数馬の湯に寄り入浴(800円)。汗を流して着替えた後、家に電話し無事下山したことを伝える。長男夫婦が来ているとのことで、「また山・・・」と呆れているだろうと想像する。
 上りは僅か1時間30分程なのに、下りに2時間30分も掛かってしまったが、真夏にもかかわらず暑さを感じず、ブナ林の中の山歩きは快適であった。曇りから雨模様の天候のお陰でもある。紅葉の時期にでももう一度訪ねたい山であり、その時は今回パスした三頭大滝に寄ろうと思う。                                   (98/8/9 67/100)

追記 奥多摩桧原村も最奥でバスを乗り継いで入山した。深山でブナ林が目に付いた。コースはそう難しくなく歩けたと思う。三頭山頂から西口峠へ笹尾根を歩き、麓へ下りて数馬の湯に入ったのは記憶に残る。笹尾根は山梨県境と知った。三頭山は日本三百名旦に選ばれている。