私が登った百の名山&低山=東北編=「天候に翻弄された宮城の名峰栗駒山」

 晴れ後雨、そして風 東北新幹線をくりこま高原駅に降りると晴れていた。よし、本日は登山日和と微笑んだ。数日前の予報は良くなかったからだ。今回は仙台在の同級生Aさんと栗駒山を目指す。この山は東京でもマニアには知られた山で、以前から目を付けていた。車は宮城県の穀倉地帯を走る。山が近付くに従い雲行くが怪しくなってきた。ついには暗雲が立ちこめて雨が落ちてきた。しょうがないなーとあきらめざるをえない。山間を走りやや長いトンネルを抜けると雨は降っていない。登山口いわかがみ平に到着。風は強いが雨は止んでいる。

 東栗駒コースは悪路 雨具はザック内のまま出発。最初から沢登り。水はないが溝の中を、泥を避け、岩を越して進む。車中で想定したコースではなく、Aさんが変化を持たせるため、わざわざ選んでくれた。彼は地元のメンバーと数回登山済み。それにしても歩き難い。段差が激しい大岩は一気には上がれない。足場を探し、草木を捕まえては前進を続ける。紫のリンドウが咲いているが携帯を向ける余裕がない。Aさんとは離れてしまった。“東高ファイト、ファイト”と高校時代の掛け声で前方から励ましてくれた。

 滑め沢、淵に出会う どうにか沢を上り切ったら大きな川(新湯沢)に出た。既に高度1,500mはあろう地に幅5m程の谷川が出現し、激しく流れている。一度は岩上から跳んで渡渉し、滑め沢や淵を覗きながら行く。こんな山歩きは珍しい。
 再度山側に突入。歩き易い灌木地帯から草原の道。両側にはリンドウが咲き誇っている。右下に先程のいわかがみ平の駐車場を確認して、東栗駒山(1,434m)を越した。相変わらず風は強い。帽子が飛ばされないようにポケットに仕舞った。大岩の傍で外人と二人連れペアに会う。入山して初めて、こちらは裏コースらしい。

 雨具を着ける 雨が強くなってレインコートを着る。栗駒山は近いと思っていたが未だ先とAさんはいう。高原状の尾根道から階段になり傾斜がきつくなる。ナナカマドが色付き当山は秋の気配が漂っている。二人は前後になりながら上がり続ける。左手からの中央コースの道と合わせた。Aさんが言うには、地元では深田百名山に漏れたのを嘆いているという。整備された階段のある山では資格がないと冷やかした。13時ジャストに登頂(1.627m)。既に山頂広場には数名が休んでいた。その後も次々に上がってくる。それも老若男女と様々。流石人気の山である。登頂コースも宮城県側、岩手県側と5,6以上あるようだ。

 広大な栗駒山域 山頂神社に参拝し、記念写真を撮って昼食。小雨、風で展望はない。鳥海山が望めると期待はしていたのだが。中央コースを下山。雲が散った合間に山腹から裾野一帯を一望する。ブナ林に覆われた栗駒山麓は広大であった。可愛い名とは違い深く、広い山域を有している。百名山を目指したのも納得できた。急な直線コースを下る。途中小ピークから東栗駒山を捉えた。しかし、携帯を向けている間に雲間に隠れてしまった。

 下山後晴れる いわかがみ平に下山し、駒の湯で入浴。元湯治場で、汗を流して、仙台へと向けた。車窓から太陽が顔を出したのが見えた。残念、本日の天気はどうなっているのだろう。山の天気は移り気だということか。仙台駅まで送って貰い、帰京。また今夏も登山のガイド、送迎とAさんには大変お世話になってしまった。有り難うございました。翌日岩手、秋田は大雨と報じられた。(2007/9/16 9/100)

追記 仙台在の同級生の案内で栗駒山に登った。奥羽山脈宮城の主峰である。上りのコースは変化に富んだきついコースであったが、下りは踏まれた一般登山コースでゆっくり下山した印象であった。「栗駒山というのはやさしい名前の山だと思う。・・・5月中下旬の頃、山頂西側に飛翔する天馬(駒)の雪形が浮かび上がるのが、山名の由来という」とある(岩崎元郎「ぼくの新日本百名山」朝日文庫252頁)。
駒の湯は、2008年の地震で被害を受けたが、ネット情報ではその後復興したとある。