盛岡駅を発したバスは12時20分に八幡平バス停に着いた。本日は、岩手、秋田県境にある八幡平を目指して、6時30分家を出て東北新幹線で北上した。約6時間であった。八幡平は深田百名山にも選ばれているが、山頂下までバスが入り、簡単に登頂できる山との情報を得ていた。10年程前に、同期の旅行の際、登る計画があったが急用が出来て私は不参加となったとき、地図等を入手していた。
直ぐ八幡平頂上へ 天候の良い中、頂上へ向かう。回りを歩く者は普通の服装の観光客で、登山者ではない。緩やかな上りの道をゆっくりと進む。登山道が舗装されている。見晴らしが良く、先程来岩手山が真後ろに見える。見返峠へと上がり、直進すると青森トドマツ林となり、右手に沼が見えて、八幡沼。また左手にはガマ沼が現れた。紅葉シーズンの土曜日のためか人出は多い。間もなく八幡平頂上(1,613m)に到着。頂上を示す標柱がなければ、トドマツに囲まれた只の平地。木製の展望台に上がると、前には岩手山が望まれ、後方には林が一面に続いていた。
鳥海山を遠望する 八幡沼分岐まで戻り、沼の左辺を行く。湿原はもう枯野。木道は工事中で、交差に苦労する。次のポイントは源太森だが、少し距離がある。どんな地か不明で、下るハイカーに尋ねると、“鳥海山が見えた”と興奮気味に応じてくれた。松林の中の小さなピークが源太森(1,595m)。先行者が展望を楽しんでいる。西方へ目を向けると雲の間から僅かに頭を出した高山が見える。我が故郷の名峰鳥海山と確信。雨天下の宮城栗駒山では適わなかったが(07.9.17)、予想外の遠望、再会に感激である。南方には岩手山の大山の左に霞む高峰は早池峰山。振り返って、北に八甲田山や岩木山も探したが、確認出来なかった。
八幡沼分岐源太分かれへと歩き返す。沼の右辺は湿原地帯で、池塘が点在している。今は枯れているが高山植物が咲き揃う夏場は楽しいコースに違いない。峠でトドマツの倒木や千切れた枝に出会う。永年風雪に耐えた証しで、北海道美深松山湿原でも見た風景である。
八幡沼を一周し見返峠へとUターンしたが、時間があり、鏡沼方面へも廻るため再度頂上へと出て、左折して下る。山頂付近には小さな池や沼が多い。火口湖という。デジカメに収めながら、観光客に混じってバス停へと下りた。
ガイドさんに、“鳥海山が見えたよ”と報告すると、“ここからもよ”と指さした先に、雲の上に突き出た頂を再度確かめて、バスに乗り込み帰途に就いた。(2010/10/23 8/100)
追記 八幡平は山岳ではなく、その名のような湿原のある高原であった。深田100名山であるが、岩崎元朗新日本百名山には選ばれていない。タテヤマリンドウ等で、田中澄江著「新はなの百名山」(文春文庫68頁)ではある。奥羽山脈に属する。
私は、東北新幹線と盛岡からバス利用で、日帰りの山歩きであった。私の記録を読んだ友人たちから、日帰りは勿体ないと言われた。単独行で、そんな思いには至らなかった。最近、花輪線を乗り鉄したら、八幡平という駅があった。