私が登った百の名山&低山=関東編=「憧れの清滝小屋に泊まり両神山に登る」

 両神大谷口から入山 両神村日向大谷口から登る。秩父山中は深く、市街地から日向大谷口までバスで一時間以上を要した。バスを降りて舗装道路を30分程歩くと登山口。女子大生のパーティと一緒になる。山腹に付けられた細い山道を上る。両神山は人気の山で、登山道は整備されて広いと思ったが、意外と狭い普通の山道。道端の随所に石碑があり、Y君が興味を示す。会所に到着し、谷川に下りて昼食。

 たちや堀までは、谷川沿いの緩やかな上り。木々の緑が鮮やかである。白い可憐な花は、確か二輪草だろう。たちや堀での休憩時、これからはきつい上りと、M君が地図で読んだがそのとおりとなる。八海山の途中で下山する大勢のパーティに会い、道を空けて待って貰っている間を上るのがまたきつい。弘法ノ井戸に到着して休憩。一筋の清水が出ていて喉を潤す。この辺の林はまだ芽吹いたばかりで緑には程遠く、高度が高いことを示している。再びきつい上りをこなして清滝小屋に到着。火事で全焼後再建された小屋は立派なもの。

 清滝小屋に一泊 明日の天気予報が雨のため、今日中に登頂すべきかを検討したが、予定通りとMリーダーが決断する。早速、外へ出て自然を楽しみながら、途中駅で求めた地酒とM君持参のウィスキーを飲む。小屋の回りにはテントが張ってあり大勢の登山客で賑わっている。意外と寒くセーターを着る。6時前に夕食を済ませ、7時前には寝る。小屋はそれ程には混んでいない様子。
 5時起床、外は小雨。朝食後、雨具を着、スパッツを付けて出発。小屋のすぐ後ろからきつい上りの連続。雨は次第に霧雨となり、その後止む。木の根と岩とで登り難い林の中の上りの道を、小生がトップで懸命に進む。鎖場で、M君に足場を固めてから鎖を使えとのアドバイスを受ける。途中、なんでこんなにして迄登るのだろうかとの思いが頭を過ぎる。“ブオー”“ブオー”と鳥の鳴き声。もしかしたら仏法僧ではと耳を澄ます。今朝、小屋の管理人に聞いたら、もう鳴き始めてもいい時期と教えてくれた。清滝小屋は仏法僧でも知られ、数年前にその新聞記事を読んでから一度は訪れたいと思っていた。少し鳴き声が違うようだなと考えていたら、道は平らになり、両神神社の奥社到着。予定よりだいぶ速いようだ。休憩をして雨具を脱ぐ。

 無事登頂 頂上までは、ほぼ平らな道。2カ所程鎖場があったがたいしたことはなく、無事、登頂(1,723m)。頂上は思ったより広く、既に先客5人程が休んでいた。富士山から筑波山まで見渡せるというが、残念ながら展望はない。雨が止んだだけでもラッキーか。
 白井差口を目指して下山開始。両神神社までは上りと同じ道。その後急坂となり、雨後のドロ道を慎重に下る。のぞきを覗くのを忘れ、次回の楽しみにする。急降下が連続し、一位ガタワ、御手洗場を通過。上りとしては、日向大谷ルートより白井差ルートの方が大変のようだ。途中、ヤシオツツジを見付ける。濃いピンクの花が奇麗だが、まだ時期が早いようで、ほんの一咲きの様子。

 バスに間に合う 道も次第に良くなり、昇竜ノ滝到着。残りの距離を考えるとバスの時間が迫っていることを知り、急ぐ。白井差を通過して、舗装道路。緑が重なる奇麗な谷間の道を速足で下って、白井差口のバス停。どうにかバスに間に合う。小屋でも頂上でも一緒になった男、女の登山者は既に着いていた。村営バスを乗り継いで、秩父鉄道三蜂口駅到着。ここからは、Y君の先導で三峰神社に参拝し、その後帰宅する。 
 今回は清滝小屋に泊まって両神山、以前から憧れていた山行が実現できた。計画段階からリーダーを務めてくれたM君、同行のY君に感謝しなければならない。(95/5/2,3 51 /100)

追記 両神山は、百名山であるが、私には仏法僧の鳴き声が聞ける山小屋でも惹かれていた。それが双方とも実現した。埼玉も群馬県境の高山は、私には難度の高い険しい上下でもあった。下りでは私のゆっくりペースで遅れ、バス停へと駆けたのを覚えている。日向大谷口は、約30年後偶然再訪し(23.10.5)、僅かな記憶が蘇った。