棒の嶺は遠い山であった。奥多摩の代表的な山であり、関東ふれあいの道「山草のみち」コースでもある。いつかはと思っていたが、健脚向きということで躊躇があり、一度は途中で断念したこともあった。ふれあいの道・東京都コースで最後となってしまい、今年目標の山とし、連休の一日を棒の嶺に当てた。棒の折山ともいうようだ。
青梅線川井駅からバスで入山 長丁場に備えて早立ちした。ふれあいの道は奥多摩町上日向から御岳駅までの長いコースである。青梅線川井駅前から乗ったバスを上日向に降りて、棒の嶺を目指して出発。清東橋、百軒茶屋を経て奥茶屋を過ぎると登山道に入った。沢沿いのわさび畑の間をゆっくりと上る。沢を離れると杉林の中の階段となる。資料によれば500段あるという。最初の難関は思った程のことはなく上り切り、尾根に出た。程なく山頂下の急登となり小刻みなジグザグを繰り返す。大きな岩を3つ越すと頂が見えた。
急登から頂上 棒の嶺頂上(969m)は広場となっており、既に多くのハイカーが休憩中。北東方面の展望が開け、先日登った伊豆ガ岳や子の権現(2000.4.23)等奥武蔵の山々が目の前である。残念ながら新宿の高層ビルまでは靄って見えない。菓子と水を補給して、ゴンジリ峠に下りる。道は一転して広い階段の道。上って来るハイカーは皆、端を歩いている。ふれあいの道階段の歩幅が合わないのだ。ゴンジリ峠からは名栗方面への道が分けて、峠から岩茸石まで往復する。実はふれあいの道・埼玉県1「水源のみち」を歩いた時、棒の嶺登頂は諦め中途の岩茸石で引き返したのだった(96.8.24)。「水源のみち」の歩き残した部分を今回補充しようというもの。意外に長い道のりと感じたが予定通り約40分で峠に戻った。
岩茸石山へ 峠で一息入れて、岩茸石山へ向ける。尾根筋歩きは好調だ。やしおつつじは散り始めたがレンゲツツジはまだ蕾。林が切れて奥多摩の山が右手に現れ、一段高い山は大岳山と御前山であろう。足下に見える集落は今朝通った大丹波に違いない。縦走路は道が狭い上に小さなピークが多い。出会うハイカーも稀となる。次第に疲れが出始め、上りが辛くなった。黒山から1時間経過しても、名坂峠に出ない。堪らず休憩を取ると、木々の間から前方に岩茸石山が見え、もうすぐと気合いを入れ直す。さらにピークを一つ越して、名坂峠から岩茸石山に這い上がった。
岩茸石山(793m)は高水三山に属し奥多摩の人気コースであり、小生も昨年登ったばかりである(99.10.17)。ベンチの一隅を借りて遅い昼食とした。
御岳駅へ下山 御岳駅に向けて下山開始。惣岳山下に着き、巻き道を採ろうとしたが思い直して、山頂(756m)の青渭神社に参拝し小憩する。直下の岩場では最後の力を振り絞った。神社の彫刻を見学した後、他のハイカーと前後して下り、3時過ぎにコース終点御岳駅にゴール。駅は御岳山から帰る家族連れなどでごった返していた。(2000/5/5 68/100)
追記 後半はすっかりばててしまった。確かに縦走路はタフだったが、欲張った埼玉県1「水源のみち」岩茸石往復が余計だったのだろう。それでも関東ふれあいの道東京都「山草のみち」を歩き通したことになった。まだ若かったのである。特に、御山駅への下山路はその後の高水三山でも苦労した(2018.12.19)。