私が登った百の名山&低山=甲信越編=「大菩薩嶺に登り、景徳院で勝頼を思う」

 今回は、小生の当番で、前回の奥穂高岳に懲りて、タクシーを利用した中高年向きのハイキングと百名山と温泉を組み合わせたコースを選定。同行者と新宿駅で待ち合わせ、大月駅で乗り換えて塩山駅で下車。タクシーで柳沢峠へ向かう。峠付近は紅葉はまだ色付き初めで、これからがシーズン入りの様子。峠の売店で軽く食事をして水を貰い出発。

 柳沢峠から 秋のぶな林の中の小径を、落ち葉を踏みしめながら進む。他に登山者は見当たらず、静寂の中を黙々と歩く。最近歩いた形跡もなさそうだ。苔むした古木、岩石が随所に見受けられ、正に深山の雰囲気十分。冷気の中にすがすがしい空気を感じる。途中、道に迷いそうになったが無事六本木峠に到着して、小憩。時々、林が切れて、左側に奥秩父の山々が見える。歩き始めて一時間、きのこ採りの人に出会う。天庭峠、寺尾峠と通過。高度が上がるに従い、紅葉の濃さが増してきれいだ。林を抜け出して草原に着く。丸川峠で、小屋があり、二、三組みの登山者が休んでいた。

 丸川峠から山頂へ 我々も休憩後、いよいよ大菩薩嶺の頂上を目指して、ススキと隈笹の中の急坂を上ると、またぶな林が深い。下りの登山者が多くなる。同行者、湿った丸木橋で足が滑って尻を打つ。しばらく休憩。大事には至らず、予定通り頂上(2,057m)に着く。案内書どおり林の中で展望はない。記念写真を撮り、昼食後早めに下山開始。

 大菩薩峠 直ぐ展望が開けて、雷岩。回り一面がススキと隈笹、しかし残念ながら富士や南アルプスは見えない。賽の河原を通過して、大菩薩峠到着。大勢の登山客が休んでいる。ここからは、下る一方で、広い山道。約30分で上日川峠の福ちゃん荘前に着く。既に、朝予約したタクシーが待っていた。

 嵯峨塩温泉泊 くねくねした山道を下って、嵯峨塩温泉到着。30分を要した。やはり歩くのは無理だった。嵯峨塩温泉は山中の鉱泉宿というよりは、立派な温泉旅館。同行者、靴ずれで踵の上の皮が大きく剥けている。早速、温泉で汗を流し、麦酒で乾杯。
 翌朝、朝風呂を浴びた後、谷川付近を散歩。同行者の足の様子が良いようなので、今日も歩くことにする。山宿らしい山菜など盛たくさんの朝食を戴いた後に、出発。山に囲まれた谷川沿いの舗装道路を延々と下る。途中、甲斐武田家にも縁があるという栖雲寺を見学。古寺で、石庭が珍しい。予定した竜門峡の遊歩道が通行禁止で、再び舗装道路を下る。          

 景徳院に参拝 大和村田野の景徳院に着く。田野は、戦国時代織田、徳川連合軍に追われた武田勝頼が自刃した地だ。勝頼の墓がある。墓参りを済ませ、再び歩き始め、朝出発後、2時間40分を要して、甲斐大和駅に到着。同駅から鈍行に乗り、立川で乗り換え、新宿駅を経由して15時に自宅到着。今回も、無事帰還。
 今回は、選定どおり、中高年向きのハイキングコースで、小生にはちょうど良かった。ぶな林、草原、ちょっとした急坂、岩場もあり、結構楽しめた。天気にも恵まれたが、富士山、南アルプスが見えなかったのが残念だ。紅葉には少し早かったが、頂上付近はまあまあの色付きできれいだった。(94/10/15,16  82/100)

追記 大菩薩嶺は2000mを超す百名山と思うが、ハイキングの延長で気軽に登れた。それにしても往復タクシーを利用し、そして温泉旅館に泊まり、贅沢な山歩きであった。その後、大菩薩峠から富士の写真を撮りたい弟と出かけたことがあったが、天候不順で、途中で断念したことがあった(10.5.29)。コースを変更し笹子峠で矢立杉を見上げた。