数年前に内房岩井から富山へ登った。その奥に伊予ケ岳の双耳峰を眺め何時かはと心に留めて下山した(01.2.18)。久しぶりに伊予ケ岳を思い出して、出掛けた。あれから8年も経過していたが、小さな岩峰は相変わらずに房総の天を突いていた。
内房線岩井駅から 山友もKさんと一緒である。秋葉原駅で待ち合わせ特急さざなみに乗り約2時間で岩井駅に到着。予定したバスは満席と断られて、タクシーを奮発し登山口平群神社へと入った。安全登山をお願いして山へと向かう。直ぐ山中となり、追い越すハイカーや既に下る男女と行き交い、人気の山のよう。若いKさんに離されないよう後を追う。やや山道の傾斜が増したと思ったら、右手が開けて富山が見えた。直ぐ上が展望台になっていて、他の登山者と一緒に休憩を取る。
ロープを使い急登を 一息入れて腰を上げると、急登の岩場下へ突入。一本のロープが下がっていて先行者が取り付いている。巻き道はないようだ。順番に、足場を固めながら綱を伝い上がり続ける。北アルプスのように危険はなく、恐怖感もないのが幸いだ。そんな岩場を三カ所こなすと頂上(336m)であった。僅か45分で極めることができ、小さな山頂に立ち携帯に収めた。眼下には房総の山里風景が広がる。山麓には散りばめたように田畑や集落が形成されて、それらを繋ぐように道路が巡っている。海側には、同じく、端正な富山の双耳峰が見える。
北峰へ こちらの双耳の一つ北峰へと渡る。小さな鞍部を二つ越した10分先であった。山頂は弁当を広げるグループに占拠されていて、三角点を踏み引き返した。下りの岩場を、上がる者を待ちながらも、慎重に一歩一歩ロープを利用して通過する。無事下りて、また展望台で休憩し昼食。今朝、秋葉原駅で求めたお握りを頬張った。
富山も登る 富山にも登ることにし、山麓から山里の道路を行く。既に水仙や菜の花も咲き、やはり房総は温暖の地だ。背後には先程の伊予ケ岳が聳えている。意外に距離があって、富山の林道入口まで約1時間、さらに林道を上がり続けて南北峰の鞍部までは1時間半を要してしまった。予想した地点に着いて富山北峰は目の前。小憩後階段から北峰の三角点を経て、展望台へ。こちらは東京湾が望まれて、湾越しの山々は、箱根や南アルプス方面ではあるが霞んでいる。最後の力を振り絞って南峰(349m)も踏んで下山した。岩井駅では折良く来た特急に飛び乗り、車内で、無事下山と房総の自然に感謝しKさんと乾杯をした。(09/2/7 62/100)
追記 伊予ケ岳は、四国伊予(愛媛県)にある石鎚山に、山容が似ていることに由来するという。房総丘陵にあるなだらかな周囲の山の中では珍しく、突き出た岩峰の山頂が印象的で、房総のマッターホルンと呼ばれると知る。山頂直下の岩場は大変で、ロープにしがみ付いた。それでも僅かな岩場で、余裕があり、復路では富山にも登頂した。日本百低山(同書247頁)や日本百名低山を歩く(同書95頁)登載の山である。千葉では、三舟山(11.04.24)や房の大山(12.2.26)にも登った。